|
日本のクラシック音楽界は今や世界最大の市場と言われながら、現実には、外来アーティスト依存と、一部の著名な演奏家と作品のみを追い求めるブランド志向と権威主義が定着し、その結果、現存音楽界の演奏は活力が低下し、新しい聴衆、とりわけ若者に聴衆層を広げることに成功していない。また、毎年輩出される、若くて有能な音楽家を受け入れる既存の音楽界はかつてなく厳しく、それが新たな閉塞性と硬直化を生んでいる。専門家は既存のシステムに依拠するしか演奏活動の道はなく、また聴衆はマスメディアによる情報しか選択できないのが現状である。また、わが国各地には世界に例がないほど多くのアマチュア・オーケストラや合唱団があり、レベルも高いが、ほとんど全国ネットとして聴かれ、知られることはない。
私たちは、戦後日本の誇れる音楽文化として周知されている、年末恒例のベートーヴェンの第9交響曲、世界中の人々に歌い継がれているヘンデルのメサイアなどクラシック音楽の初心者の指導等を通して、西欧の著名な作曲家の代表作品の中に必ずある「オーケストラ付き合唱作品」のコンサートを、日本フィルハーモニー交響楽団、東京都交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団等と過去30年間、共演して、普及、紹介に努めてきた。
また有能な若手アーティストを積極的に起用し、また日本語の朗読入りオラトリオなど新しい演出で新たな聴衆を開拓し、海外演奏団体との国内外における国際交流、専門家の出演料を含む全収益金寄付を前提にした平和と人権を守ることを訴えるコンサートの開催など、年間十数回、自主運営により、良質で、安いコンサートも開催してきた。
昨年末には、世界的に活躍するトーマス・ザンデルリンク氏を音楽監督に迎えて、確実な技術をもち、合唱付きオーケストラ作品の演奏を主な活動目的とするオーケストラ「フィルハーモニカ・トウキョウ」の結成にも協力してきた。この新しいオーケストラを中心に、一人ひとりが自発性と責任を明確にもった「オーケストラ・プレーヤーおよび声楽家」と18世紀から19世紀前半に生まれたオーケストラ付き合唱作品を歌う「合唱団員」と、この活動を支援している「聴衆」とが連携、協力して、組織的、日常的な音楽演奏活動を行うための運営母体として特定非営利活動法人「おんがくの共同作業場」を設立するものである。
また21世紀を背負う子ども達の音楽創造のために、「オーケストラとともに歌うこども合唱団」を育成することも始めている。これらを成功させるために、幅広いジャンルからオーケストラと合唱音楽を愛する人々の知恵と力を結集して、自主的な音楽活動をひろげ、次世代へ音楽の素晴らしさと喜びを伝えていきたいと考えている。
|